自然素材の活用
「昔の普通が本来の普通」で本物。
「今の普通」は偽物。
私たちが世に問いたいと思うアンチテーゼです。
大手メーカーや一般的な工務店で、もし「普通の家でいいです」とオーダーすると、どうなるでしょう。大抵の場合、ビニールクロスと合板でできた家になります。すなわち「新建材の家」を建てることになります。
ところが建築業界の人間は、自分たちの家を建てる段になると、皆、新建材ではなく自然の素材を使うのです。農家さんの場合も、市場に出荷する野菜には農薬を使い、自分たちが食べる野菜は別の畑で無農薬栽培、というような話をよく耳にします。
新建材がすべて良くないというわけではありません。「本物と偽物の違い」がわかっていれば、明確な理由を根拠に選択することができます。しかし、知らないままだと選択の幅が限定されてしまうのです。
たとえば、「健康になる家」と「病気になる家」、どちらが良いですか?と、もし聞かれたらいかがでしょうか。
新建材は誰が施工しても一定のクオリティが保たれるので、工務店にとっては便利な材料なのですが、そこには大量に使用されている溶剤や接着剤など、日本では十分に周知されていない化学物質のリスクが潜んでいます。現場で施工している側の私たち職人も、そのリスクを負っているのです。
自然素材は「手入れが大変だ」という話もよく言われます。はたして本当でしょうか?
一般的な通念としては、工業製品の方が、手入れが楽で、自然素材は後々のメンテナンスが大変だと考えられています。しかし一概にそうとは言い切れません。工業製品は堅牢に見えますが、紫外線や静電気の影響で汚れが吸着しやすく、時間とともに劣化が進みます。メンテナンスを怠ると脱色や漏水といったトラブルに発展して大きな出費を迫られます。静電気で表面に埃を吸着してしまうため、掃除も大変です。
一方、布地や無垢材などの自然素材は静電気を帯びないので、汚れがつきにくいのです。掃除も楽で、箒で掃いたり、はたきをかけるだけで十分です。5年、10年後、あるいは20年、30年後といった長い時間を経ても、安定して美しい状態を保ち続けます。
画一的な規格で作られた工業製品の建材は、施工が完了した瞬間から徐々に劣化する運命にあります。一方、手仕事で仕上げた自然素材は、時間が経過するにつれて、置かれた環境に馴染んでゆきます。
自然素材には様々な特長があります。吸湿・調湿効果に優れているのはもちろんのこと、素材によっては空気清浄作用や消臭効果が期待できます。たとえば、弊社独自の温存乾燥を施した杉材や桧材には、健康に良い精油成分が豊富に含まれており、鎮静・安眠作用などの環境性能が備わっています。
電磁波対策
目に見えないものを知る。
電気のインフラが整っているおかげで、便利な生活を営むことができます。明るい照明、テレビや携帯などの情報機器、エアコンなどの空調機器、洗濯機や掃除機、冷蔵庫や電子レンジの生活機器等々、もしそれらが無くなったら、現代の生活は成り立たなくなります。しかし、そうした便利な生活を支える電気が、私たちの健康を脅かす原因となりうることも知っておく必要があります。
健康に悪影響をあたえる電気は、人工的に作られたものの中に存在します。化繊の衣類で静電気が発生することは皆さん体験があると思います。冬場は特にビリビリと痛い思いをしたりします。この程度でも、生体にとっては強力な電圧・電流となるものなので、できる限り避けたいですね。
電磁波についてはどうでしょう。携帯電話、電子レンジ、IHなどについてはすでにご存知かと思いますが、Wi-Fi、冷蔵庫、LED、ウォシュレットなどの機器からも電磁波が発生します。現代の便利な生活は電磁波や静電気と背中合わせで成立しているのです。まずは、できるだけ電磁波の発生源から離れること。しかしそれでは生活になりません。ですが、発生源との距離感を意識しておくことは大事だと思います。
電気のことを正しく理解していれば電磁波対策は可能です。電源の基本は、まずしっかりとアースを取ること。電源にアースを取ることで、静電気や電磁波は大幅に削減できます。市販の電磁波対策機器も存在しますが、電源アースの効用を知ることで、コストをかけずに有効な対策をとることができるのです。新築時にアースコンセントを多めに設置するようにすれば、コスト的にはほとんど変わりません。
木製建具
木製サッシや木製ドアの魅力は、何と言っても重厚感ある風合いではないでしょうか。そして、その断熱性能はアルミ(お鍋の材料になるほど熱伝導性が高い)とは比較になりません。木製建具には腐食や狂いといった問題はありますが、結露も起きにくく、手入れさえ怠らなければ耐久性も問題ありません。
金属製の建具は登場してから歴史は浅いのですが、その進化には眼を見張るものがあります。機能性、コスト、美観、日本の技術力は本当にすごいと思います。当社も、リスクを冒さず施工しなければならない場合には、アルミサッシを選びます。しかし、お客様の理解が得られるのであれば、木製サッシをお勧めします。
森林ビルダーパネル -杉の無垢板を竹ひごで連接-
杉の無垢板を竹ひごでつないだ
「森林ビルダーパネル」
桧や杉の丸太から柱や桁を取った残りの製材端材で、薄い板をとり、枠材や、下地材を作る。昔からある木材の活用法です。屋根下地の野地板などが代表的な利用方法だったのですが、現代では合板に取って代わられています。
厚さ12ミリの針葉樹系合板は、一枚の重量が約12キロあります。それに対して、同サイズの杉の無垢板は約8キロです。この4キロの差は、合板を接着する化学物質の重さに相当します。たとえば、40坪の家に床・屋根と合板を使用している家では、通常100枚以上の合板が使われています。一枚あたり4キロの接着剤 ×100枚とすると、約400キロの化学物質が使用されているということになります。そして、この化学物質は何年もの間ずっと揮発し続けます。
私たちは、合板そのものを否定するつもりはありませんが、施工の効率だけを考えて、使用枚数を増やすことは避けたいと考えています。「花の木の家」では、杉の無垢板を竹ひごで連接した「森林ビルダーパネル」を屋根の野地板、壁下地、内装材など随所に用いています。
独自のノウハウ「温存乾燥法*」
自社の低温乾燥窯でゆっくりと木を乾燥させます。
色、香り、強度、すべてが最高の状態に仕上がります。
*「温存乾燥法」は株式会社バイオ・ベースが実用化に成功した独自の技術です。
温存乾燥木材で組み上げる「花の木の家」